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ブラック企業で名高いあの会社のアルバイターが有給休暇をとった話

ブラック企業の代名詞といえるあの会社で働いている友人から、昨年末に辞めたいという話を聞いたんですよ。

使えるものは使って辞めたらいいという思いと、あの会社から有給をとれるのか?という好奇心から「有給使ってないんでしょ?使ってみたら?」と聞いてみました。

友人も言うだけで数万円貰えるならということで、やってみることにしました。

有給休暇を取ることを伝える

有給休暇を取るという意思を伝えないことには始まりません。

まずは有給休暇を取るにあたり、最低限の知識を友人に理解してもらう必要があります。正直なところ、法律で決まっていることなので勝算はあります。
しかし、「はい、わかりました。」と簡単に取れないことは予想できます。

友人にアドバイスした内容

・法律で決まっているので有給休暇を取れないはずはない。
・取れないと言われたら理由を聞いてくること。
・退職の申し出と同時に有給休暇を使うと言うこと。

「大企業だろうが小さいコンビニだろうが、パートだろうが正社員だろうが労働基準法で決まっていることなので有給休暇は取れる。会社独自のルールは許されない。」ということを友人に叩き込んでおきました。

そして辞めると伝えると同時に「有給休暇を使いたい」と伝えることをアドバイスしました。なぜ辞めると同時に言うのかというと、会社の時季変更権を封じるのが狙いです。



数日後


「アルバイトに有給休暇はない」ということをそれっぽい理由で断られて来ました。まぁこれは想定の範囲内です。こちらもブラックと名高いあの会社から、簡単に有給が取れるとは思っていません。

週30時間以上の社会保険加入のアルバイトは有給を使えるが、週30時間未満のアルバイトは使えないと言われたそうです。まったく意味がわかりませんね。知ってか知らずか店長として発言とは思えませんね。


そして、友人はなぜ引き下がってしまったのか。せっかく叩き込んだ意味がありません。このあたりでちょっと火がついてきました。

日本人の多くは労働者の権利に無頓着すぎます。犯罪行為を擁護するつもりはありませんが、これは労働者も反省せねばなりません。ブラック企業はこういう労働者の無知に付け込んでやりたい放題しています。


次の作戦へ

これからは「アルバイトに有給休暇はない」と思っている店長に有給休暇を取ることがきることを理解してもらう必要があります。法的根拠を準備し理解してもらうことは面倒なので本社に確認してもらう方向にもっていきたいと思います。

「有給は週30時間未満でも使えるはずだと、人事の友人から聞いた。間違いではないか?」と伝えること。それでもダメなら「本社の総務なり人事なり、わかる部署に確認して返事を欲しい」と伝えることをアドバイスしました。

アルバイトの有給の分、店長が穴埋めしないといけないことは容易に想像できます。穴埋めと考えること自体おかしな話かもしれませんが、本来は有給休暇も想定して、シフトなり人件費の予算を組むのが当然です。


有給休暇の取得に成功

結論から言うと無事に有給休暇5日を取ることができました。週3日程度の勤務でしたので法定通りの日数が取れたことになります。

有給を取得するまでの流れとしては、店長より上の責任者まで話があがったそうです。10日程かかっているということから予想すると、店長の直属の上司にも決裁権はないことも十分考えられます。組織的に有給休暇を取らせないようなシステムに悪意を感じます。
店で有給休暇を取った人は初めてだということから、歴代の店長が「アルバイトに有給はない」ということで封じ続けていたのでしょう。