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【労働ニュース】大手クレジットカード会社 長時間残業の疑いで書類送検

JCBが違法な残業により書類送検されるというニュースがyahooのトップに載っているほど話題になっています。

JCB 違法な長時間残業の疑いで書類送検

大手クレジットカード会社の「ジェーシービー」が、去年、社員に違法な長時間の残業をさせていたとして、19日、労働基準法違反の疑いで書類送検されました。
書類送検されたのは、東京・港区に本社のある大手クレジットカード会社の「ジェーシービー」と、取締役ら合わせて4人です。
東京労働局によりますと、ジェーシービーは本社の社員7人に対して、去年2月からの2か月の間、労使協定で取り決められた月80時間の残業時間を超える、1か月当たりおよそ90時間から146時間の違法な残業をさせていたとして、労働基準法違反の疑いが持たれています。
東京労働局はこれまでも会社に対して是正勧告を行っていましたが、改善が進まないため、19日、会社と担当役員らを東京地方検察庁書類送検したということです。
ジェーシービーは、労働局の是正勧告を受けて、去年7月以降は残業時間の削減を進めているとしたうえで、「送検された内容は確認していないが、事実であれば、真摯(しんし)に受け止めて誠意を持って対応していきたい」としています。

引用元:JCB 違法な長時間残業の疑いで書類送検 NHKニュース

この件の違法性

労働基準法の原則としては、「1日8時間、1週40時間」を超える労働自体がそもそも違法となっています。

今回の件ではJCBは本来違法である残業を適法とする労使協定(いわゆる36協定)を締結していました。使用者(会社側)と労働者が月80時間までの残業を行うことに合意していという内容の労使協定です。

合意の月80時間までであれば問題にはならなかったのですが、労使協定の月80時間を超える残業が違法となっています。

さらに、「これまでの是正勧告があったにもかかわらず改善がない」ところや、「社員からの通報」、「名前も知れている大企業」「100時間を超える残業による労災の危険性」があったのも書類送検に踏み切った理由と考えられます。

経営陣の逃げの姿勢

この手の事件では常套手段となっていますが、とにかく「知らなかった」「確認していない」という姿勢。労働基準法でも事実を認識していたかどうかで罰則がかわってきます。

今回の件では「違法な残業を指示した行為者(上司)」は最大で「懲役+罰金」の可能性があります。さらに「事業主」にも最大で「罰金」可能性があります。

しかし、事業主が違法な残業を知っていたにもかかわらず改善をしなかった場合は行為者として罰せられることとなり、事業主も最大で「懲役+罰金」の可能性がでてきます。

とにかく、「知らなかった」「上司が勝手に指示した」という言い訳をすることでなんとか懲役刑を回避したいということと考えられます。

まとめ

現状では違法残業により書類送検されるケースはまれですが、月100時間前後残業やうつ病過労死の危険性がある場合は労働基準監督署も積極的に動いていると考えられます。

今後、不起訴となるか起訴され有罪となるか争われることとなりますが、その前に労働基準法違反=犯罪者ぐらいの意識が世の中に浸透すればこのような事件も少なくなってくるのではないかと思います。