「あと1分待てば残業代が貰えたのに」と悔しい思いをしたことは誰でも一度はあるはずです。
働いていれば就業間際の仕事の依頼や、閉店間際の来客で残業せざるを得ないこともあるでしょう。きっちり1分単位で残業代が出るのであれば、10分単位、あるいは15分30分単位の時間に不満を感じることもないはずです。
ではなぜ15分単位のような切り捨て計算が行われているのか。
会社側としてはちょっとでも残業代を払いたくないからに違いありません。建前としては事務処理の簡素化などと言うかもしれませんが、パソコンで勤怠管理ができる時代にこのような言い訳は通用しません。つまりわざわざひと手間加えてできるだけ残業代を払わないよう計算しているわけです。
このような10分単位、あるいは15分単位で切り捨てるという計算方法は完全な違法行為です。労働基準法に則った計算方法を確認していきましょう。
労働時間の計算単位
- 原則:1分単位で計算します。
当然ですが、2時間8分働いたら2時間8分の賃金を受け取れます。
労働時間の端数処理
- 1か月における労働時間の合計から、1時間未満の端数を30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げます。
- 時間外、休日、深夜は分けて計算します。
計算例:1か月の合計時間が以下の場合
時間外労働 5時間15分⇒5時間(切り捨て)
休日労働 3時間50分⇒4時間(切り上げ)
深夜労働 1時間33分⇒2時間(切り上げ)
労働基準法で許される端数処理の計算は、1か月の合計から時間外、休日、深夜労働を分けて計算したうえで、30分単位の切り捨て切り上げだけです。
もし15分等の単位で賃金カットされているのであればまずは上司に訴えてみましょう。改善される見込みがなければ労働基準監督署に相談してみるのもよいかと思います。
退職時に2年分まとめて請求するというやり方もありますので、タイムカードはコピー等なんらかの方法で残しておくと後々役に立ちます。